俺様御曹司は逃がさない
七瀬が寝ているベッドの隣にあるベッドに腰かけて、スマホを確認すると蓮からメッセージが入っていた。


《舞ちゃんはどう?》

《極度の疲労だってよ》

《お見舞いに……と思ったんだが、遠慮した方が良さそうかな?》
 
《まあ、今日は目ぇ覚ますこと無いだろうし、目ぇ覚めても全身激痛すぎてキツいんじゃね?》
 
《そうか……。なら、退院日に会いに行くよ》
 
《了解~》
 
《じゃ、舞ちゃんのことはよろしく頼むよ》
 
《へいへーい》


スマホをいじりながら時々七瀬を見て、そんなことを繰り返していたらあっという間に日が暮れていた。

コンコンッとドアをノックされ、顔を覗かせたのは霧島。

「柊弥様、お食事はどうなされますか?」

「いや、いらん」

「ですが……」

「腹減ってねーし、腹減ったら適当に買って食うから問題ない」

「承知いたしました。……あの、七瀬様のご様子は?」

「変わらず~。さっき点滴交換されてたな」

「そうですか。柊弥様もしっかりお休みになってくださいね」

「へいへい」

 
霧島が出ていった後シャワーを浴びてベッドへ戻ると、七瀬が少し苦しそうにしていた。


「大丈夫か?」

 
俺がそう声をかけると、涙が目尻からこめかみへ伝った。

< 185 / 234 >

この作品をシェア

pagetop