俺様御曹司は逃がさない
「んんぎぃぃいっっっったぁぁぁぁい!!!!」


あたしの叫び声は、言うまでもなく院内に響き渡る。そして、あまりの激痛に耐えきれず、ポクッと気絶した。


「── おーーい、おーーい。生きてるかぁ?」

 
あたしはもう……死んでいる。


「七瀬様……七瀬様……」


うっすら目を開けると、あたしを覗き込んでいる九条と霧島さんが見えた。


「お、生きてんね。ハハッ、死んだかと思ったわ~」

「柊弥様、いい加減にしてください。七瀬様、本当に申し訳ございません……」


悪びれる様子が一切ないドクズ御曹司と、めちゃくちゃ申し訳無さそうにしている霧島さん。


「霧島さん」

「はい。何でしょうか?」

「こいつを殺してください。それであたしは報われます」

「ハハッ。なぁに言ってんだよ、大袈裟なやつ~」


今すぐにでも殴ってやりたい。でも、ちょっとでも体を動かそうもんなら、激痛で悶えることになる。


「霧島さん。せめてこいつを車で引きずり回してください」

「……では、失礼いたしました」

 
ばつが悪そうな顔をしながら、スッと消えた霧島さん。

・・・・おぉぉい!!逃げんな、霧島ぁぁ!!


「つーかさ」

< 190 / 234 >

この作品をシェア

pagetop