俺様御曹司は逃がさない

「あたしは九条様のサーバントです。あの人以外のサーバントになるつもりは微塵もないですね。あの人のサーバントを辞めるのなら、あたしには天馬に居る意味も理由も一切ないですし、サーバントで在り続ける必要がない」

「…………くくっ、ハッハッハッ！！」


突然笑い始めた蓮様に若干引くあたし。そんな笑えるようなことでも言っただろうか？


「あ、あのぉ……なにか？」

「いやぁ～、ごめんごめん。さすが柊弥の選んだ子だなあって思って。悪いね、試させてもらったんだ」

「……はい？」


・・・・試す……って、何を？


「君がルックスや地位などの目的で、僕達に近付いて来た女かどうかを一応試させてもらったんだ。悪いね、すまないと思ってるからそんな顔はしないでくれ」


苦笑いする蓮様と、ジトーーッと目を細めて蓮様を睨むあたし。

・・・・あーー、なるほど……ね。だから妙に優しかったり、甘ぁいマスクであたしを見つめてきたりしてたわけか。


「あの、失礼だとは重々承知の上で、一言物申して宜しいでしょうか？」

「ん？うん、いいよ？」

「自意識過剰も大概にしてください」

「……え？」