俺様御曹司は逃がさない
「……あんた、絶対モテないでしょ。死ぬほどモテないでしょ。信じらんないわ」

「こっちが信じらんねーわ。そんなことで『触んないで!!』とかデケェ声で言う?」


呆れているけど、どこか安心したような表情を浮かべている九条が、本当に意味分かんない。


「はいはい、ごめんなさいね?大声出しちゃってー」

「ったく、マジでうぜーな」


その言葉、そのままそっくりお返しするわ!!


「ははは。それはお互い様ですーー」


あたしは冷えピタを手に取り、ベシッ!!と九条の額に張り付けた。


「おまっ……」


氷枕を枕の上に置いて、九条の御尊顔をガシッと鷲掴みにして、そのまま氷枕に押し付けた。


「……お前、マジで死にてぇの?」

「あら、すみません。うちではこれが普通なんですよ。言うことを聞かない生意気な弟にはこうしてます」

「へぇー」

「ちょっ……!?」


腕を掴まれて、あれよこれよという間に体を絡み取られて、そのまま布団の中に引きずり込まれた。

──── あの、この距離感バグ男なんとかなりませんかね?


「あの、離してもらえます?」

「この俺様の布団に入れるなんて光栄だと思えよな~。入りたくても入れるもんじゃねえんだしぃ~」

< 213 / 234 >

この作品をシェア

pagetop