俺様御曹司は逃がさない
──── とても綺麗な人で、息を呑んだ。

どことなく、誰かに似ているような──。

ぽわぁん~っと頭の中に浮かんだのは九条。

・・・・うん。九条とどことなく似ている。ということは……ということは……?

──── くっ、九条のお母さん!?!?


「あら、可愛らしいお嬢さんね?」

「あっ、あのっ、すみません!!お邪魔してます!!」


狂ったように何度も何度も頭を下げた。


「フフッ、面白い子ね。あなたは……柊弥のお友達かしら?」

「いやっ、お友達と言いますか……申し遅れました。九条様のサーバントっ……」

「あなたが七瀬舞ちゃんね!?」


グイグイと食い気味で近付いてきた九条のお母さんに、若干後退りをしながら引いているあたし。


「あ、はい……七瀬舞です。よろしくお願いいたしま
す」

「へぇ~。柊弥が随分と気に入っているみたいだったから、どんな女の子なのかな~って気になってたの!!」


ごめんなさい。期待外れでしたよね?ごめんなさい、こんなしょーーもない女で。土下座でも何でもしますから、どうかお許してください。

明らかに表情が強張っているあたしを見て、何故かシュンッと落ち込んでいる九条のお母さん。

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