俺様御曹司は逃がさない
いや、なんの報告……?別にいいんじゃない?学校には間に合ってるんだし。

“え?だから何?”みたいな顔をしながら拓人を見ていると、梨花も美玖も大きなため息をついた。


「苦労するね~、拓人」

「舞ちゃん鈍感だからぁ~」


何のことだかサッパリ分かんない。


「あーー、えーーっと、ごめん。置いてっちゃって」


とりあえず謝るか……と思って謝ったら、拓人がクスッと笑った。


「なんで舞が謝るんっ……んごぉっ!?」


拓人の背中に思いっきり飛び乗ったのは拓人の友達だった。


「七瀬ちゃーん。今日こいつ借りてもいいかな?」


・・・・いや、なんであたしに聞くの?許可制でも何でもないし、ご勝手にって感じなんだけど。


「どーぞどーぞ」


──── そんなこんなで、あっという間に下校時間──。


「じゃーな舞。気をつけて帰れよ」

「うん」


ニコッと爽やかに笑って、手を振って去っていく拓人。


「ねぇ、梨花ちゃん、舞ちゃん。今日カラオケ行かない?わたしが奢るよ~」

「マジぃ?行く行く~」

「あーー、ごめん。あたし無理だ」


ロウソク買いに行かなくちゃいけないし、ホームセンター遠いから尚更早く行かないと、遅くなっちゃうし。


「そっかぁ、残念」

「んじゃ美玖、私と2人で行こーよ」

「せっかく誘ってくれたのにごめんね?2人で楽しんできて」


そんな会話をしている時だった。


「すみませ~ん。七瀬先輩っていますーー?」

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