俺様御曹司は逃がさない
「ったく、躾がなってねーな」

「……は?」

「お前、口悪すぎでしょ。俺がみっちり躾てやるよ」


いや、これはあんたのせいで悪くなってるだけ。……まあ、心の中ではそれなりに悪かったりするけどもさ。


「あの……マジでいい加減にしてくれます?警察呼びますよ」

「ハッ、警察……ねえ。ご勝手にど~ぞ」


勝ち誇ったように余裕そうな笑みを浮かべて、ヘラヘラしながら笑っている。……この男、マジで腹立つ。


「舞っ!!」

「舞ちゃん!!」


後ろからあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。その声は紛れもなくあたしの親友の声で──。


「梨花っ、美玖っ……!!」


呆気なくスーツ男に捕まってしまった2人。


「きゃっ」

「ちょ、離せよ!!」


抵抗している美玖と梨花。きっとこの2人はあたしのことを心配して、探しに来てくれたんだと思う。本当に優しい子達なんだよね……。そんな2人を巻き込むわけにはいかない。


「ちょっと!!2人を離して!!」

「あ?お前が俺の言うことを何でも聞くってんなら離してやってもいいけど?」


真顔でそう言ってはいるけど、どう考えたってふざけてるようにしか思えない。


「は?ふざけてんの?あんた」

「あ?大マジなんだけどねえ。で、どーすんの?大切な""お友達""なんでしょ?助けてあげなくていいわけ~?」


嫌みったらしい言い方に腹が立つし、なにより梨花と美玖を巻き込んでしまった自分に一番腹が立つ。

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