俺様御曹司は逃がさない
「マジか、お前……俺のこと知らねーの?」

「は?知らないけど」

「ふ~ん。だからそんな態度だったわけね~」


・・・・いや、あんたがどこの誰だろうか態度は変わんないと思いますけど?


「俺、九条柊弥(くじょうとうや)。ちなみにお前と同い年ね」


──── へぇーー。そんなドヤ顔で自己紹介されてもね、知らんがな。


「舞ちゃんよかったね!お幸せに!」

「よかったじゃん舞。玉の輿成功おめでと~う!」

「え、え!?ちょっと、待っ……てよぉぉ……」


美玖と梨花はキャッキャしながら去っていった。無情にも取り残されてしまったあたし。

てか、『玉の輿成功おめでと~う!』って一体どういう意味なんだろう。というか、この状況で普通置いていくか!?酷くない!?

・・・・とりあえず自分で状況整理をするしかないか。

えーーっと、まずは……高級車でしょ?で、この完璧な容姿にムカつくほどの俺様性格に加えてめちゃくちゃ自信家。そして『柊弥“様”』と呼ぶ謎のスーツ男達……からの美玖と梨花のあの反応──。

・・・・バラバラだったピースが揃い始めてしまった。


──── こいつ、やっぱりただ者ではない。


だがしかし!!

どこの誰だろうが知ったこっちゃないし、あたしには関係のないこと。ロウソクを買いに一刻も早くホームセンターに行かねばならないっ!!


「えっとー、九条だっけ?あたし、あなたに興味も無ければ、相手をしている時間も無いわけ。だから、もういいかな?急いでんのよ」

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