俺様御曹司は逃がさない
「舞、次どこ?」


弟(長男)・七瀬律(ななせりつ)はぶっきらぼうというか、感情の起伏が少なくて割と冷静沈着タイプ。

来年中学生になる律は、既に私の身長を余裕で抜いていて、たまに彼氏だと間違われたりして死ぬほど迷惑している。


「なぁ、舞ちゃん。腹減ったぁ~、もう帰ろうぜ~?どうせどこで買っても金が無ぇのには変わりねーじゃんか」


弟(次男)・七瀬慶(ななせけい)は思ったことはさらっと悪気なく言って、とにかく生意気なクソガキ。

小学4年生の慶はまぁまぁな問題児で、喧嘩をしてきて怪我をするなんてしょっちゅう。この血の気の多さは誰に似たのやら。


「舞おねえちゃん、ボクつかれたちゃった。おんぶして?」


弟(三男)・七瀬煌(ななせこう)はうるうるした瞳で上目遣いをしてくるめちゃくちゃ可愛い末っ子。

来年小学生になる煌は、男の子なのに女の子に間違われるほどのキュートさの持ち主で、園児からも先生からも狂ったようにモテてている。


「律、次はあそこのスーパー。慶、1円を笑う者は1円に泣くって言葉知ってる?少しでも安い所に行くの。煌、ほら……お姉ちゃんがおんぶしてあげるからおいで?」


・・・・まあ、我が家はこんな感じですね、はい。


─── 中3の秋。


「舞、高校はどうするつもり?」


慶が壊した壁を障子紙で補修していたあたしに、背後から話しかけてきたお母さん。チラッと振り向くと、お母さんはどことなく気まずそうな表情を浮かべていた。

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