俺様御曹司は逃がさない
可愛げのない……そうは思うけど、慶ってあたしのこと『舞ちゃん』って呼ぶから、そこだけは可愛かったりする。


「舞おねえちゃん、おかえり~」

「ただいまぁ、煌」


あたしの癒しが満面の笑みを浮かべている……きゃわいいーー!!

・・・・そんなこんなで、今日の我が家はいつも通り通常運転でした。


──── それから、特に何もないまま数ヶ月が経過──。


あのビンタ事件以降、九条が学校へ来ることもなければ、家に押しかけて来ることもなかった。

とても平和である、平和すぎるくらいだ。

ま、九条のことだから、都合のいいちょっとした暇潰しになる女が欲しかっただけだろう。きっとあたしは、“この女はもう要らない”判定を受けたんだろうなーー。めちゃくちゃ嬉しいわーー。

もう一生会いたくもないし、関わりたくもない。

時期に九条の存在も忘れれるでしょ。

・・・・“交渉”?“約束”?

そんなもの、無かったことにすればいいよね。うん。忘れよーーっと!!


「舞ちゃん、九条君とはどうなったの?」

「いいなぁ、玉の輿~」


美玖と梨花は、定期的に九条との関係性を聞いてくる。だから、忘れたくても忘れられないし、本当に迷惑している。


「はぁぁ。あのね?もう、一切関わってないって何回言えば分かってくれるの?あいつが何処で何をしているか、誰と一緒に居るか~とかなんだとか知らないし、興味もないの」

「えぇ~、そんなぁ」

「もったいな~」

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