俺様御曹司は逃がさない
あたしが家族を支えなくちゃ。

律達には行きたい高校へ行ってほしい。何も我慢なんてさせたくない。


「痛っ……」


・・・・無意識に下唇を噛み締めてたっぽい。少しだけ血が滲んで、口の中に血の味が広がった。

軽く深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、幼なじみである拓人ん家へ向かう。


──── 拓人ん家の近くにある、何処にでもあるような普通の公園。その公園をいつも通り、通り過ぎようとした時だった。


ドサッ！！


何かが落ちるような鈍い音が聞こえて、その音が聞こえた方へあたしの体は咄嗟に動いていた。走って向かった先には、ブランコの下でうつ伏せになって倒れ込んでいるおじいちゃんの姿が──。

慌てて駆け寄ったものの、正直どうしていいのか分かんない。


「だっ、大丈夫ですか！？」


息を切らしながらしゃがんで、おじいちゃんの肩を軽く叩いてみたけど反応がない。これってもしかして……もしかしなくても──。

・・・・し……しっ、死んでるーー！？

どどどどうしよう、どうする！？脳内がパニックになっているあたしは、おじいちゃんを容赦なくガンッガンッ揺さぶった。


「おじいちゃん！！死なないで！！」


そう叫んだあたしの声は公園中に響き渡って、なんならあたしがおじいちゃんを殺ってしまいそうな勢いで強く揺さぶっている。


「ねえ！！おじいちゃっ……」

「し、死ぬわぁぁーー！！！！」


ガバッ！！と凄まじい勢いで起き上がったおじいちゃんの黒目が、あっちゃこっちゃグルグル動き回っている……ぶっちゃけキモい。

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