俺様御曹司は逃がさない


─── 色々ありましたがわたくし七瀬舞は、なんとか無事に中学卒業を迎えることができました。


「舞ちゃん、クラスの皆で卒業のお祝い会やるって~。行こうよ~」

「あーー、ごめん!!あたしこれからバイト先に挨拶行かなきゃいけなくて」

「あ~、舞はもうバイト先決まってるって言ってたもんね」

「原則4月以降からじゃなきゃバイトしちゃダメなんだけど、家庭の事情が事情だしって、特別に明日から働かせてもらえることになってさ!!」

「ふふっ。嬉しそうだね、舞ちゃん」


そりゃそうよ、美玖。ようやく自分でお金を稼げるんだから、嬉しいに決まってるじゃん!!


「あ、これ……私と美玖の連絡先。スマホ買ったら連絡して~」

「ありがと~う」


連絡先が書いてある付箋を受け取って、メモ帳に貼り付けた。


「んじゃ、またね!!」

「「ばいば~い」」


拓人にも声かけようかなって思って、チラッと拓人の方を見ると、友達やら後輩やらに揉みくちゃにされていてあたしが話しかける隙もなそう。

ま、拓人はいっか。さて、バイト先まで急ごう。


──── 今日は雲ひとつない青空で、少し肌寒い風が時々吹くけど、日差しはポカポカして暖かい。とっても気分がいい。


あたしの新たな人生がいよいよ始まるって思うと、ちょっと緊張してドキドキするけど、それよりワクワクの方が圧倒的に遥かに上回ってる。

< 60 / 193 >

この作品をシェア

pagetop