俺様御曹司は逃がさない
「あ、あの……あれは確かにやりすぎたとはっ……」

「おい七瀬。歯ぁ食いしばれよ」

「え、ちょっ……!?」


真顔で手を振り上げた九条。“殴られる!!”あたしは迷わずそう思った。目をギュッと強く瞑って、来るであろう衝撃に備えて身構える。


・・・・痛っ……くない。首元にフワッとした感覚。


「ププッ。なんだよ、殴られるとでも思ったぁ?」


ゆっくり目蓋を上げると、ニヤニヤしている九条があたしの顔を覗き込んでいた。……てか近い、とにかく近いっ!!距離感バグりすぎでしょ!!

あたしはササッと後ろへ下がって、九条を睨み付けた。気持ち悪いくらいニヤニヤして、どことなく嬉しそうにあたしを見ている九条に寒気がする。そして、あたしは違和感に気がついた。

・・・・首、首になんか付いてる!? 

慌てて触ってみると、いつの間にやらあたしの首にネックレスが付けられていた。


「それ首輪」

「……首輪?」

「そ、首輪。もう逃げらんないよ?七瀬舞。お前は完全に俺のモンになったから」

「は?」

「ちなみにそれ、何をしても外れないになってるから~」


・・・・あたしはありとあらゆる手を使って首輪……いや、ネックレスを取ろうとしたけど外れなかった。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……っ、何よ……このネックレス……」

「だぁから言ったじゃん。何をしても外れないよ~って。無駄な努力おつ~」

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