俺様御曹司は逃がさない
・・・・背筋が凍るような想像をしてしまった。すると、吹き出すように笑い始めた九条。


「なぁに期待してんだよ。ま、お前がその気なら相手してやらんこともねえけど……どうする?」


妙に色っぽい表情の九条に、不覚にもドキッと胸を弾ませてしまった自分を殴りたい。


「ばっ、馬っ鹿じゃないの!?」

「フッ、お可愛いこと~」


無意識……いや、反射的に?なのか分かんないけど、九条にビンタを食らわそうとするあたし。そんなあたしの手首をガシッと掴んで、ビンタを何食わぬ顔で阻止した九条。


「ホントお前さぁ……もっと女らしくしたら?」

「……っ、別にどうだっていいでしょ。あんたには関係ない」

「関係ない……ねえ。ま、俺はお前みたいなタイプ嫌いじゃねえし、関係ないかもね~」


次の瞬間、あたしの手首を掴んでいる九条がギュッとあたしの腕を引っ張ったもんだから、バランスを崩してよろけた。


「なっ!?ちょっ……!!」


バタン……。

・・・・どうしてこうなった……?

あたしが九条をベッドに押し倒している地獄絵図の完成。


「へぇ~、随分と大胆だな」


余裕そうにニヤッと笑っている九条と、己の失態を心の中で嘆きまくっているあたし。

とりあえず起き上がろうとした……けど、九条があたしの腰を押さえ付けているせいで、うんともすんとも起き上がれそうにない。

・・・・てか、よくよく考えたらこの体勢……ヤバくない?

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