俺様御曹司は逃がさない
よくよく考えなくても分かることだけど、とにかくヤバい。


「……俺の人生、面白おかしくしてくれよ」


は?いや、意味分かんない。もう十分すぎるくらい、面白おかしい人生なんじゃないの?知らないけど。


「は?ちょっと、離して」

「嫌だって言ったら?」


優しく微笑み、目を逸らすことなく見つめてくる九条。

・・・・はあ、なるほどね。こりゃ落ちない女はいないかも。でも、あたしには通用しません。


「嫌だって言われたら……」


あたしはニコッと微笑み、躊躇することなく九条のご尊顔を鷲掴みした。


「……っ!?」

「手、離してくださる?」


まさか顔を鷲掴みされるとは思ってもみなかったのか、すんなりあたしを解放した九条。あたしはフッと鼻で笑って立ち上がった。


「お前、マジで信じらんねーわ」


呆れた表情を浮かべながら起き上がって、少し乱れた髪をかき上げながら、大きなため息を吐いている。そのまま呆れ返って、いっそのこと全てを白紙に戻してくれないかな。


「あのさ、九条なら女なんていくらでも選びたい放題でしょ?」

「うん」


・・・・即答かよ……。まあ、即答するとは思ってたけど。


「だったらさ、他にもっと居るでしょ。なんであたしなわけ?」

「……うーーん。何となく?」


・・・・ふっざんけんな!!

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