俺様御曹司は逃がさない
・・・・ていうか……し、死体が動いたぁぁーー!?


「え……い、生きてる!?」

「生きとるわっ!!勝手に殺すな!!」


全身についた砂埃を手でベシベシ払いながら、少しだけ……いや、かなり機嫌が悪そうなおじいちゃんを見て、ホッと胸を撫で下ろした。ぶっちゃけ遺体の第一発見者とかになるのはご免だし。そもそも一歩間違えれば、あたしが人殺しになってたかもしれないもんね、揺さぶりすぎて……ははは。


「あの、大丈夫……ですよね?……うん。大丈夫そうなのであたしはこれで」


軽く会釈をして、あまり絡まない方が無難そうだなと思ったあたしは、この場からそそくさと去りたくておじいちゃんに背を向けた。


「ちょっと待たんか」


一歩踏み出し、歩き出そうとしていた足をピタッと止めるあたし。いや、止める必要はなかったんじゃないかって、止めた後に思っても時すでに遅し。


「な、なんでしょうか……」


呼び止められたし、足を止めちゃったしで、嫌々仕方なく後ろへ振り向いておじいちゃんの方を見ると、ジーーッと真顔であたしを見つめていた。

・・・・どうしよう。

揺さぶりすぎちゃったし、まさかの慰謝料とか吹っかけられたりするパターンだったりする?『頭がクラクラしてかなわん!!5万で許してやる。親を呼べ!!』的な。 

はぁぁーー。

人助けなんてしたって、ろくなことないじゃん。マジで最悪なんですけど。

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