俺様御曹司は逃がさない

チラッと俺を見て、申し訳なさそうな顔をしている。随分と素直だな。


「ま、いいんじゃね？お互い様ってことで～」

「なんか嫌だ」

「なんでだよ」


目と目が合って、クスッと笑い合う俺達。

やっぱこいつ、悪くねぇなって思っちまうんだよなぁ。こーーんなガサツそうな女のどこが良いのか、俺にもさっぱり分かんねえけど。


「九条……あのさ、お願いがある」

「あ？」

「約束は守る、守るけど……やっぱ天馬に行くなんてあたしには無理。あたしはっ……」

「金が必要だから働きたいっつーことでしょ？」

「う、うん……。だから、言うことは聞くけど他の案にしてくれない？」


・・・・そんなこと、なんの問題もねえんだけどなーー。ま、お馬鹿なこいつにも分かりやすく簡潔に説明してやるかぁ。