俺様御曹司は逃がさない
抗うのをやめて、従えってこと?反撃も何もかも無駄だよって?

そういうこと……?


「あたしは……」


『あたしは九条の言いなりになんて絶対ならない』そう言いたいのに言葉が詰まる。

九条なら本当にやりかねない。こいつはきっと、あたしの全てを一瞬にして奪うことなんて造作もない。

大切なものを守れるのは自分次第──。


「悪いけどぉ、欲しいモンは必ず手に入れる主義なんでね。大切なモン守りてぇなら、俺の言うことを聞いとくのが賢明なんじゃない?悪い話でもねえんだし~」


そう、こうなったら……利用してやればいい。

九条に何故か優遇されている環境を、とことん利用してやればいいんだ。 

そしていつか、利用してやって良かったと思える日が訪れればそれでいい。


「わかった」

「七瀬舞。お前自身の口から言えよ」


ニヤッとほくそ笑み、自分の思い通りになって満足気な九条。それが本当に悔しくてたまらない。

で、九条はどうやらあたしの口から『サーバントにしてください』と言わせたいらしい。


「ほっっと性格悪っ」

「そうかぁ?普通でしょ」

「あたしが懇願するとでも?」

「あ?しなきゃ始まんないよ~?」


・・・・こんな男に腹を立てたって無駄。深呼吸をして、真っ直ぐ九条を見据えた。


「あなたのサーバントにしてください」

「よろしくぅ……?」

「……よろしくお願いします」

「くくっ。ハイ、よくできました」

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