俺様御曹司は逃がさない
九条を見送った後、自分の部屋へ直行してベッドに飛び込んだ。
「はぁぁーー、なんか疲れたぁぁ」
疲れが一気に押し寄せてきて、ズシッと体が重くなる。なにもしたくない、なにもできない、もう一歩も動きたくない。
すると、部屋のどこがで何かが鳴っている。
ピコンッ、ピコンッ、ピコンッ──。
鳴りやまない音……あたしは永遠にこの音を聞かされるのか?そう思ったら、重い体をようやく動かす気になった。
「あーーもう……うっさいなぁ!!」
どこでピコンッ、ピコンッと鳴っているのか分からず、徐々にイライラしてきた。次の瞬間、リズミカルなメロディーが流れ始める。
・・・・もしかして、九条がスマホ忘れてった?
音がする辺りを漁っていると、携帯ショップの紙袋らしき物が置いてあって、その中から着信音っぽいのが聞こえる。紙袋の中を覗いてみると、黒い箱と説明書やらスマホケースやら色々と入っていた。
黒い箱を手に取ると、この中から音が聞こえるし手に振動がくる。ゆっくり箱を開けると新品のスマホが入っていた。
「これ……誰のスマホ?」
スマホを手に取り、どうしようか悩んでいるとピコンッとメッセージが届いた。
《おい、電話に出ろ》
いや、電話に出ろって言われましても……そう思っていたら、また電話がかかってきた。あたしは戸惑いながらも、不慣れな手付きで通話ボタンを押す。
〖お前さぁ、耳つんぼなわけ~?〗