【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「私との通学、本当は嫌なんじゃないかなって……」



一緒に登下校するのも、ご近所さんだからというよりも、私が迷子にならないため。


実は転校初日、道を間違えて始業式に遅れそうになってしまって。

しかも帰り道も間違えて、住宅街ではなく団地エリアにたどり着くという、高校生とは思えないドジをやらかしたから。


紅輝くんは『話し相手が増える〜』って喜んでいたけれど……紅耀くんは普段通りの反応で。悪く言えば無愛想って感じだった。

先週の別れ際も少し不快そうな反応されたし、本当は我慢しているんじゃないかって思ったんだ。


抱えていた不安を吐き出すと、「なんだ、そういうことか」と安心した表情に。



「確かに女子はあまり得意じゃないけど、嫌いってわけではないよ」

「そう、なの……?」

「うん。あの時も、怒ってたんじゃなくて、残念だなぁって……」



口ごもりながら目を逸らした紅耀くん。

残念……? 一体何が?

首を傾げて綺麗な横顔を見つめる。



「……この辺り、ここ数年で町並みが変わったから、案内したかったんだ」
< 10 / 70 >

この作品をシェア

pagetop