【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
*
「──……ちゃん、こーちゃんっ」
裏門でスマホ画面を凝視していたら、トントンと肩を叩かれた。耳からイヤホンを外して顔を上げる。
「ごめん、ちょっと遅くなっちゃった。音楽聴いてたの?」
「うん。といっても校歌だけど」
外したイヤホンを紅輝くんの耳に当てる。
「今朝全然歌えなかったから、頭に叩き込んでるの」
「頑張り屋さんだね〜。でもなんか、聞き覚えのある声が聞こえるんだけど……」
おおっ、これだけ大勢の声が混ざってても、やっぱり友達の声はわかるんだ。
「少しガヤガヤしてるし、これ、CDの音源じゃないよね? いつ録ったの?」
「昼休み。クラスメイトに頼んで、録音させてもらったんだ」
戸惑う彼にスマホ画面を見せる。
映っているのは校歌の歌詞。
間奏に入ると、歌詞カードが下がり、肩を組んで熱唱する男子達が現れた。
いつでも練習できるように録音したかったのだが、教室が騒がしく、2人の声だけだと上手く録れないと思い、声量がある運動部の人に協力を求めたのだ。
ちなみに郁恵ちゃんは、動画を撮っている私の後ろで指揮者をしている。
「──……ちゃん、こーちゃんっ」
裏門でスマホ画面を凝視していたら、トントンと肩を叩かれた。耳からイヤホンを外して顔を上げる。
「ごめん、ちょっと遅くなっちゃった。音楽聴いてたの?」
「うん。といっても校歌だけど」
外したイヤホンを紅輝くんの耳に当てる。
「今朝全然歌えなかったから、頭に叩き込んでるの」
「頑張り屋さんだね〜。でもなんか、聞き覚えのある声が聞こえるんだけど……」
おおっ、これだけ大勢の声が混ざってても、やっぱり友達の声はわかるんだ。
「少しガヤガヤしてるし、これ、CDの音源じゃないよね? いつ録ったの?」
「昼休み。クラスメイトに頼んで、録音させてもらったんだ」
戸惑う彼にスマホ画面を見せる。
映っているのは校歌の歌詞。
間奏に入ると、歌詞カードが下がり、肩を組んで熱唱する男子達が現れた。
いつでも練習できるように録音したかったのだが、教室が騒がしく、2人の声だけだと上手く録れないと思い、声量がある運動部の人に協力を求めたのだ。
ちなみに郁恵ちゃんは、動画を撮っている私の後ろで指揮者をしている。