【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
相づちを打ちながら、スマホのメモアプリに情報を打ち込む。


松木兄弟とおしどりカップルのおかげで、クラスには馴染めた。けれど、学校についてはまだまだ知らないことだらけ。

校歌の練習の時も、1人置いてけぼりになってたし。自分だけ話に入れないのは寂しいから、少しでも覚えないと。


高速フリックで文字を入力していると……。



「こーちゃん、前っ!」

「へ?」



顔を上げた瞬間、目の前に電柱が現れた。
足を止めたが避けきれず、額にゴンと鈍い音が響く。



「いたた……」

「大丈夫⁉ ケガはない⁉」

「うん……なんとか……」



薄目で返事をしつつ額を擦る。

触った感じ、血は出てないっぽい。けど、衝撃が強かったみたいでクラクラする。

ケガがなくて安心したものの、足がもつれてバランスを崩し……。



「うわぁっっ!」

「危ないっっ!」



道路脇の排水溝にお尻から突っ込んだ。
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