【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい




「本当に、申し訳ありません……」



松木家の玄関前でか細い声で謝った。

頭を下げると、泥が付着したスラックスが見えて、罪悪感が募る。


引っ張り上げてもらったら、今度は足が滑り、紅輝くんのお胸にダイブ。制服を汚してしまった。

急いで家に帰るも、鍵がなくて中に入れず……。まだ誰も帰ってきてなかったため、紅輝くんのお家で待つことになった。



「何かお詫びを……」

「いいっていいって! そんなに汚れてないし、高梨家には昔からお世話になってるから気にしないで?」



恐る恐る顔を上げた私の頭を優しくポンポンした紅輝くん。


私が転校した後、入れ替わるように引っ越してきたらしく、昔はよく一緒に遊んでいた。と、この間おじいちゃんとおばあちゃんから聞かされた。


恩返しできて満足なのだろうけど、それでも気にしちゃうよ。だって真正面から抱きついちゃったんだもん。

彼女じゃないのに嫌だったよね。ごめんなさい……。


心の中で謝罪してお家の中へ。

洗面所で制服を脱ぎ、汚れた部分を軽く水洗いした後、シャワーを浴びさせてもらった。

制服を乾燥機に入れ、用意された服に腕を通す。



「ただいまー」
< 18 / 70 >

この作品をシェア

pagetop