【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
すると、誰かが帰ってきた。
紅輝くんママかな? さっき紅輝くんが電話したら、『今帰ってる途中』って。
お向かいさんだけど、家に上がったのは初めてだから、早く着替えてご挨拶しないと。
Tシャツに頭を通し、ズボンを穿こうと片足を上げたその時。
──ガチャッ。
「…………え」
ドアの開く音が背後で響いた。
数秒後に聞こえた低音ボイスは、今朝耳にしたばかりの声。
「あっ、えっと、お邪魔してま……きゃっ!」
目を見開いたまま微動だにしない紅耀くんに動揺し、またもバランスを崩して転倒。バタバタバタと大きな音が響き渡る。
あ、あれ……? 痛く、ない……?
「あっぶね……」
頭上から漏れ出た、掠れた声。
目を開けた先には、紺色のベストと赤いネクタイ。
起き上がってみると、腰をガッチリとホールドされていて……。
「大丈夫か?」
「っだ、大丈夫ですっ……! ごめんなさいっっ!」
叫ぶように謝り、仰向けになっている紅耀くんから慌てて離れる。
彼女じゃないのにごめんなさい! 女の人苦手なのにごめんなさい……!
急いでズボンを穿こうとするも、騒ぎを聞きつけた紅輝くんが現れ、現場はプチパニック。
もう2度と歩きスマホはしないと固く誓ったのだった。
紅輝くんママかな? さっき紅輝くんが電話したら、『今帰ってる途中』って。
お向かいさんだけど、家に上がったのは初めてだから、早く着替えてご挨拶しないと。
Tシャツに頭を通し、ズボンを穿こうと片足を上げたその時。
──ガチャッ。
「…………え」
ドアの開く音が背後で響いた。
数秒後に聞こえた低音ボイスは、今朝耳にしたばかりの声。
「あっ、えっと、お邪魔してま……きゃっ!」
目を見開いたまま微動だにしない紅耀くんに動揺し、またもバランスを崩して転倒。バタバタバタと大きな音が響き渡る。
あ、あれ……? 痛く、ない……?
「あっぶね……」
頭上から漏れ出た、掠れた声。
目を開けた先には、紺色のベストと赤いネクタイ。
起き上がってみると、腰をガッチリとホールドされていて……。
「大丈夫か?」
「っだ、大丈夫ですっ……! ごめんなさいっっ!」
叫ぶように謝り、仰向けになっている紅耀くんから慌てて離れる。
彼女じゃないのにごめんなさい! 女の人苦手なのにごめんなさい……!
急いでズボンを穿こうとするも、騒ぎを聞きつけた紅輝くんが現れ、現場はプチパニック。
もう2度と歩きスマホはしないと固く誓ったのだった。