【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
熱くなった顔を隠すように頭を下げた。

謝罪済みだが、気が動転しててきちんとできていなかったため、改めて謝る。



「ケガは、なかった?」

「大丈夫。コンクリートじゃないし」

「頭とか骨とかは無事?」

「うん。どこも痛くないし、折れてないから」



数分前の桃乃ばりに迫る私を「一旦落ち着いて」となだめる紅耀くん。

冷静な声色。だけど、心なしか表情には焦りが表れている。



「せっかく忘れかけてたのに、思い出させるなよ……」



プイッと顔を逸らされて、激しい後悔が襲う。

ごめんなさいぃぃぃ! あんなしまりのない脚、目に毒だったよね……!



「ごめんね、プヨプヨで……」

「は? どこが。プヨプヨというよりやわ……」

「いってきまーす」



紅耀くんの声を遮るように、すぐ近くでガチャッと音がした。



「あれっ、まだいたの?」



顔を向けた先にいたのは紅輝くん。

しまった。今日は早めに行くって言ってたのに。


どう説明しようか考えていると、いきなり手を掴まれて。



「今行くとこ」



ぶっきらぼうに答えた紅耀くんに引っ張られ、その場を後にした。
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