【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
*
「じゃ、また放課後」
「うん。またね」
3階の廊下で、教室に入る紅耀くんを見送った。
歩を進めて隣の教室……には入らず、窓際に移動する。
少し急いでくれたおかげで、予定より早めに着いた。けど、信号に止まらないで来ちゃったから、息切れが……。
窓を開けてマスクを外す。
はぁ〜、これで酸素を補給できる。
「小夏っ」
新鮮な空気を体内に取り込んでいると、心地よい低音ボイスが響いた。
この学校で私を呼び捨てで呼ぶのは1人しかいない。
「このゴム、小夏のだよな?」
マスクを着けようとしたが、時すでに遅し。
恐る恐る横を向くと、フリーザーバッグに入った黒いヘアゴムが差し出されていた。
そういえば、シャワー借りた時に使ったんだっけ。
「洗面台の近くに落ちてた」
「……ありがとう」
「いーえ。それよりその顔……」
「ええっ⁉ 2000円⁉」
「じゃ、また放課後」
「うん。またね」
3階の廊下で、教室に入る紅耀くんを見送った。
歩を進めて隣の教室……には入らず、窓際に移動する。
少し急いでくれたおかげで、予定より早めに着いた。けど、信号に止まらないで来ちゃったから、息切れが……。
窓を開けてマスクを外す。
はぁ〜、これで酸素を補給できる。
「小夏っ」
新鮮な空気を体内に取り込んでいると、心地よい低音ボイスが響いた。
この学校で私を呼び捨てで呼ぶのは1人しかいない。
「このゴム、小夏のだよな?」
マスクを着けようとしたが、時すでに遅し。
恐る恐る横を向くと、フリーザーバッグに入った黒いヘアゴムが差し出されていた。
そういえば、シャワー借りた時に使ったんだっけ。
「洗面台の近くに落ちてた」
「……ありがとう」
「いーえ。それよりその顔……」
「ええっ⁉ 2000円⁉」