【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
優しく私の唇に塗り始めた。
「こんなもんかな。余った分はハンドクリームにしていいから」
「ありがとう」
手が解放されるも、心臓の音は速いまま。
直接触られたわけじゃない。見つめていたのは口元。
私の唇がカサついてたのを心配して、親切心でやってくれただけ。
特別な意味なんて……っ。
手の甲にクリームを塗り広げ、ドキドキから気を逸らす。
「放課後は、何も予定ないんだっけ?」
「へ? あぁ……うん」
「なら決まりだな」
リップバームをポケットにしまった紅耀くん。
きょとんとする私と目を合わせると、フッと口角を上げて……。
「町案内してあげる」
*
放課後。紅耀くんと裏門で落ち合い、近くのドラッグストアに足を運んだ。
「ここ、前はハンバーガー屋さんだったんだけど、覚えてる?」
「覚えてる! よく家族で食べに行ってた! 閉店したの?」
「ううん、隣の学区に移転したんだ。今は小学校の近くにあるよ」
「こんなもんかな。余った分はハンドクリームにしていいから」
「ありがとう」
手が解放されるも、心臓の音は速いまま。
直接触られたわけじゃない。見つめていたのは口元。
私の唇がカサついてたのを心配して、親切心でやってくれただけ。
特別な意味なんて……っ。
手の甲にクリームを塗り広げ、ドキドキから気を逸らす。
「放課後は、何も予定ないんだっけ?」
「へ? あぁ……うん」
「なら決まりだな」
リップバームをポケットにしまった紅耀くん。
きょとんとする私と目を合わせると、フッと口角を上げて……。
「町案内してあげる」
*
放課後。紅耀くんと裏門で落ち合い、近くのドラッグストアに足を運んだ。
「ここ、前はハンバーガー屋さんだったんだけど、覚えてる?」
「覚えてる! よく家族で食べに行ってた! 閉店したの?」
「ううん、隣の学区に移転したんだ。今は小学校の近くにあるよ」