【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
サラリと言ってのけた彼が色つきのリップクリームを手に取った。



「俺、顔が青白いから、周りに心配されたことがあって。本当はダメだけど、検査がない日はこっそり付けて行ってるんだ」

「へぇ〜、そうなんだ」



秘密に驚きつつ、自分も同じものを手に取る。

色つきのリップクリームは1回だけ買ったことがあるけど、まだ濃い色は試したことないんだよね。



「似合うかな? 赤」

「うーん……顔の系統が違うから浮きそう。薄づきならいいかもだけど」



率直な意見にガクッと肩を落とす。

そっか……。まぁ、この色大人っぽいもんね。おこちゃまな私がつけたら違和感でしかないか。


その後、店内をぐるりと回り、帰路に就いた私達。



「はい、誕生日おめでとう」



突然差し出された紙袋に目をパチクリする。



「今朝桃乃ちゃんから、連休中に誕生日迎えたって聞いて」

「ありがとう……」
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