【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「へぇー、誕プレに化粧品選ぶとは。やるねぇ松木弟。そのリップはまだ出番は来てないんだ?」

「うん。試し塗りしただけで引き出しの中に眠ってる」



リップクリームは、パッケージに入れて大切に保管中。

本当は持ち歩きたいけど、失くすと嫌だし。先生に見つかったら没収されちゃうしね。



「郁恵ちゃんだったら、どんな服合わせる?」

「うーん、レースかスカート? あとは、今小夏ちゃんが着てるカーディガンとか」

「可愛い系かぁ。あまり持ってないなぁ」

「え、意外。ふわふわのニット着てそうなのに」

「あはは、よく言われる。もこもこの服は持ってはいるんだけど、部屋着なんだよねぇ〜」



両親いわく、赤ちゃんの頃からそそっかしく、月に1回はケガをしていたという。

そのため、服は動きやすさ・着心地優先。スカートよりも、ハーフパンツやロングパンツを買い与えられていた。


当時と比べてケガをする頻度は減ったものの、ドジな部分は相変わらずなので、自然と目が行くのはパーカーやデニム類。

可愛らしい服を着たのは、小学校の入学式と卒業式くらいだったんだよね。



「郁恵ー、現文のノート見せてー」
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