【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
過去を振り返っていると、榎本くんがやってきた。



「ええー、またぁ?」

「お願い! 今度購買のプリン奢るからさ」

「奢る? そんなお金あるの? お小遣い止められてたのに?」

「……ちょびっとだけある!」



必死に両手を擦り合わせる彼。

紅輝くんとお揃いのベージュのニット。少し大きいのか、萌え袖になっていてあざとい。



「ねぇねぇ、榎本くんは、普段どんな服着てるの?」



性別は違うが、私と同様、幼く見られがちな彼。何か参考になるかもと思い、郁恵ちゃんと話していた内容も含めて尋ねてみた。



「俺も同じかな。家でも外でもパーカー」

「こないだのデートもだったよね」

「だって楽だもん。最近だと、Tシャツかサマーニットかなー」

「ニットって、松木兄に選んでもらったやつ?」

「そうそう。五分丈だからちょうどいいんだよ〜」



出てきた名前にピクリと反応する。



「紅輝くんに?」

「うん。あいつオシャレだから、服買う時はいつも相談してるんだ」
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