【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
素早い操作で公園のウェブサイトにアクセスした榎本くん。スマホ画面を覗いてみると、トップページにバラの写真が掲載されている。

あ、ここ小学生の時の社会科見学でお昼ご飯食べたところだ。



「ちょっと遠いけど、タダだし駅から歩いていけるし」

「節約にはもってこいってわけか」

「そうそう。こないだお母さんに『もう少し財布の紐を締めなさい』って怒られちゃったからさー」

「マジ? バレたの?」

「うん。ゴミ回収しに来たタイミングで見られちゃって。今お小遣い止められてるんだよぉー」



「進級したばっかなのにぃー」と嘆いている。


なるほど。だからお財布に優しいデートプランなんだ。

何買ったんだろう。男の子なら漫画? それとも服とか? 今の季節だとそろそろ夏物が出てくる頃だし。



「ごめんね小夏ちゃん。せっかく来てくれたのに」



買ったものを予想していると、郁恵ちゃんがこそっと耳打ちしてきた。



「何の話だよってツッコみたいよね」

「あはは……。榎本くん、お金使いすぎちゃったの?」

「うん。先月イースターグッズを爆買いしてね……」
< 4 / 70 >

この作品をシェア

pagetop