【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「うん。こないだの金曜に終わった。あ、こいつ、彼氏でーす」

「どもー、はじめましてー」



軽い口調で挨拶した彼氏さんに会釈する。

砕けた話し方。同い年……同級生とかかな?



「そっちもデート中?」

「うん。俺もテスト終わったから、買い物の相談に乗ってた」



肩を掴まれて、グイッと引き寄せられた。


えええ⁉ デ、デート⁉

相談は合ってるけど……これだと、彼女って言ってるようなものじゃ……。


何も言えず黙り込んでいると、山路さんが「へぇ〜」と意味ありげに笑った。



「ラブラブじゃん。お邪魔して悪かったね」

「別に。彼氏と幸せにな」

「ありがとっ。そっちもね!」



「バイバーイ」と仲良く手を振りながら去っていった彼ら。

そのまま化粧品売り場を後にし、階段近くのベンチに移動すると、ようやく肩から手が離れて……。



「ごめんこーちゃん……っ!」
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