【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
ガバッと勢いよく頭を下げられた。


やっぱり何かおかしいと思ったんだよ。
表情硬いし、声にハリないし。話し方も少し冷たかったもん。


ベンチに座らせ、事情を聞き出す。



「さっきの人、中学の同級生なんだけど……俺の元カノなんだ」



ポツリポツリと話し始めた。


2年生の頃、彼女に告白された紅輝くん。
自分も好きだったので、オッケーし、付き合い始めた。

しかしある日、紅耀くんから、『あいつとは別れたほうがいい』と言われ……。



「『これで紅耀くんと近づける』って、陰で言ってたらしくて」



最初は信じられなかったが、後日、偶然にもその現場を見てしまった。


『正直、紅輝くんよりも紅耀くんのほうが好きなんだよね〜』


ハッキリと言い切っているのを聞き、少しずつ距離を置くように。

勘づかれたのか、気持ちが冷めたのかは不明だが、進級してクラスが離れたタイミングで別れを告げられたのだそう。
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