【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「紅耀が冷たくなったのも、女嫌いって噂されてるのも、俺のせいなんだ」



それ以降、紅輝くんは女性に恐怖を覚え、恋愛に臆病になってしまった。

紅耀くんも、怒りから嫌悪感が芽生え、自分達に近づいてくる人に対して警戒するようになったという。



「巻き込んじゃってごめんね」

「ううん。大変だったね……」



眉尻を下げて笑う姿に胸が締めつけられた。


利用されて、裏切られて、捨てられた。
それも好きな人、信じていた人に。

別れて2年以上経っているとはいえ、あんな悪びれない態度で来られたら……。



「私のことは、怖くないの?」

「大丈夫。今はもう克服してるから。それに同級生だし。でも……」



すると、手の甲が優しい温もりに覆われた。



「……ごめん、しばらく肩貸して」

「……いいよ」



沈黙を挟んで答えると、肩に頭が乗っかった。

「ありがとう」と呟かれた声は、今にも消えてしまいそうなほど小さかった。
< 42 / 70 >

この作品をシェア

pagetop