【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
繊細で嫉妬深い弟くん
「紅耀、これいいんじゃない?」

「んー、肌触りはいいけど、セミダブルって書いてあるよ」

「あらら本当。ならこれは? 枕カバーとお揃いの。サイズも合うでしょ?」

「まぁ、うん。でも黒はなぁ。せめてグレーじゃないと」

「あー、それもそうねぇ。じゃあこっちは? イルカさんのシーツ」

「……それ、子ども用」



日曜の午後。母と2人で寝具売り場を物色する。


今月に入って急に暑くなったので、新しいシーツを買いに来た。

しかし……なかなか見つからない。


別に何十年も使い続けるわけじゃないから、妥協すればすぐ見つかるんだけど、家にあるシーツはほぼ全部母が選んだもの。今回は自分が好きなものを選びたい。


とはいえ、今日だけで2件目。前回と前々回の分を合わせると10件近く回っている。

梅雨が来ると大きいものは洗濯しづらくなるから、そろそろ決めないと。


1時間ほどかけて見て回ったものの、納得できるものがなかったので別のお店へ向かった。



「良かったね〜。明日晴れるみたいだし、早速洗いましょっか」

「うん」
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