【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
歌が終わり、余韻に浸りながらその場から移動する。


毎日校舎裏で練習してたなぁ。

友達と遊びたいはずなのに、昼休みの時間全部使って付き合ってくれて。

おかげで先生に褒められて、机の下でこっそりグータッチしたっけ。



「変わってないなぁ……」



連休最終日の夜。

ノリノリな歌声とぎこちない歌声が聞こえてきた時は、なんだか嬉しくなって。気づいたら自分も口ずさんでた。


校歌ってビブラートきかせられるんだな。まぁ、ちょっと歌詞間違えてたけど。


1階を見て回った後、2階へ。


セール中のお店を覗いたり、期間限定で開催中の写真展を観たり。行く宛もなくブラブラしていると、ベンチに人影を見つけた。


後ろ姿で顔は見えないが、髪色とバッグ、服装で紅輝だとすぐにわかった。


午後から出かけると聞いていたので、そこまで驚きはないけれど……。



「小夏……?」
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