【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
隣に座る人物に激しく動揺した。


焦げ茶色のセミロングヘアなんて、全国にごまんといる。日和ちゃんも似た色で同じくらいの長さだった。


だけど、毎日会っている人──好きな人の姿を、間違えるはずがない。


なんであんなにくっついてるんだ? しかも手までつないで。寝てるとか?

それとも──。


凝視していると、おもむろに2人が立ち上がった。



「こーちゃん、ありがとう」

「いえいえ。私のでいいならまた貸すよ!」



笑いかける横顔が見えて、チクッと胸が痛む。


普段ならここで話しかけるところだが、今は、見てはいけないものを見てしまった気がして。

買い物袋で顔を隠し、過ぎ去るのを待つ。



「お礼に今度は俺のを貸してあげるね」

「あははっ。じゃあ成績悪かったら借りようかな〜」

「いいよ。肩でも胸でもお好きにどうぞ」

「む、胸は大丈夫ですっ!」
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