【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
声が遠のき、袋を下ろす。


単なる仲良しなクラスメイト。

俺が学校帰りに寄り道したみたいに、紅輝も案内したくなったのかもしれない。


気持ちはわからなくもないけど……。



「なんで黙ってたんだよ……」



湧き上がる寂しさと悔しさ。

買い物袋を強く握りしめて、親密な2人から目を逸らした。







翌朝。登校準備を進めていると、紅輝くんから電話がかかってきた。



「──そう。出てるのは、鼻水と熱だけ?」

【うん。熱といっても微熱だから、だるい感じだ……あっ】



話が中断され、電話口の向こうからズズーッと鼻をかむ音が聞こえた。



【何回もごめんね。こーちゃんは平気?】

「なんともないよ。プリントとかあったら届けるね」

【ありがとう、お願いします】
< 48 / 70 >

この作品をシェア

pagetop