【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「お大事に」と言って電話を切った。


昨日の帰り道、急に雨が降り出して、紅輝くんの折りたたみ傘に入れてもらった。

別れる時、片方だけ肩が濡れてたから、それで体を冷やしてしまったんだろう。


けっこう強かったもんな。風も吹いてたし。

でも、私が傘を持ってきていれば、寒い思いをさせずに済んだんだよね……。


配達役を買って出たところで罪滅ぼしにはならないけど、クラスメイトとしても、ここは協力せねば。


準備を終えて玄関に向かい、外に出た。


紅輝くんは風邪でお休み。
紅耀くんは委員会活動のため、朝イチで登校。
日和も、運動会の練習で先に行ってしまった。


1人って、こんなに静かなんだ。
ずっとおしゃべりしてたから寂しく感じるな。


話し相手がいないからか、いつもより早く学校に着いた。



「郁恵ちゃん、榎本くん、おはようっ」

「おはよう小夏ちゃん」

「おはよー」



教室に入り、荷物を置いて2人の元へ向かう。



「さっき連絡来たけど、今日紅輝休みなんだってな」

「珍しいよね。滅多に風邪引かないのに」
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