【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
ボソッと呟いた声に顔を上げた瞬間、手首を掴まれた。



「なら、なんで付けたの? あれ」



背中に公園のフェンスが当たり、顎に手が添えられた。強制的に上を向かされる。



「あれ、って……?」

「俺があげたやつ。次案内する時に付けてきてって言ったのに、なんで?」



親指で唇をなぞられて、ビクッと肩が揺れる。


くすぐったく感じるフェザータッチ。
なのに、私を見下ろす目つきは鋭い。


その差に身震いして急いで離れようとしたけれど、体がフェンスに押しつけられていて身動きが取れない。


なんで? それは紅耀くんに追いつくため。好きな人の隣に堂々と立ちたいからだよ。

というか、どうして知ってるの? リップ塗ってきたこと紅輝くんにしか知らせてないのに。


疑問をぶつけたいが、威圧感が強くて声が出ない。

なんとか声を絞り出そうと口を開くも、痺れが切れたのか、はぁ……と溜め息が降ってきて……。



「お前もそっち側の人間だったんだな」



冷たくも悲しげな眼差しで吐き捨てられた。
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