【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「急にごめんね。ビックリさせちゃったよね」

「大丈夫だよ。ティッシュ使う?」

「ありがとう、もらいます」



段差に腰を下ろし、受け取ったティッシュで鼻をかむ。


まだ全快じゃないのに貴重な1枚を……しかもハンカチまで。せめてどっちかはポケットに入れておこうよ私。


顔の水分を拭き取り、ふぅ、と一息ついたその時。



「紅耀と、何かあった?」



ドキッと図星を突かれた。恐る恐る横を見る。



「プリントもらう時、こーちゃんの様子を聞いてたんだけど、そっけなく返されてたから」

「何て、言ってたの……?」

「『別に』とか、『普通に元気』って」



話を続ける気ゼロの返答。どうやら公園での出来事は話していない様子だ。



「無表情で口数も少ないけど、先週までは普通に会話できていたから……ケンカしちゃったのかなって。あいつ言い方きついところあるからさ」

「……」
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