【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
心配そうな目で顔を覗き込まれて、誤魔化すのは無理だと悟った。

1度深呼吸をして心を落ち着かせ、体を横に向ける。



「こないだ、一緒におでかけしたじゃない? ショッピングモールに。……あの日、紅耀くんも来てたらしくて」

「えっ……俺達のこと見かけてたの?」

「うん。ちょうど、ベンチで休んでた時に……」



険悪になった日から昨日までの出来事を順を追って話した。



「帰ってきた時、何か聞かれなかった? 今日どこにいたの? とか」

「聞かれはしなかったけど……何か言いたげな顔はしてた。食事中チラチラ見られてたから」



気にしている素振りを見せていたが、何も言われなかったらしい。

もしかして、気を遣ったのかな。元気なさげだから今はやめとこうって。それで私に聞いてきたのかもしれない。



「ごめんね。俺がちゃんと説明していれば……」

「紅輝くんは悪くないよっ。私の説明不足が招いた結果だから。それに……紅耀くんの言う通り、だし」
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