【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
頭をポンポンと撫でられて、再び涙が溢れ出す。

もうっ、私ってば、泣きたいのは紅輝くんのほうだっていうのに……っ。



「もし紅耀と付き合っても、俺にもかまってね」

「うんっ、友達だもん」

「えー、友達じゃなくて弟がいいな〜」



「なんてね〜」といたずらっ子のような笑顔を浮かべた紅輝くん。

お得意の可愛い冗談に思わず笑みがこぼれた。



「……最後に1回、貸してくれない?」



私の頭から手を放した彼が、控えめに両腕を広げる。

どこを貸してほしいのか、場所は言っていないけれど……。



「うん、いいよ」

「ありがとう」



返事をすると、そっと上半身を包み込まれた。自分も彼の背中に両腕を回す。



「好きになってくれてありがとう」

「俺のほうこそ。こーちゃんのこと、好きになって良かった。ありがとう」



少し震えた声が耳元で響く。

そのまま始業5分前のチャイムが鳴るまで抱きしめ合った。
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