【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
紅に染まる頬
「そろそろ、かな」



午後4時半過ぎ。松木家の前でスマホの時計を確認する。


『紅耀くんと仲直りしたい』


今朝教室に向かう時、紅輝くんに相談したところ、彼と2人きりになれる時間を作ってもらうことになった。


まずはいつも通り3人で下校して、それぞれの家に帰宅。

『家族を誘導するから30分経ってから来て』と言われ、今、玄関の前に立っている。


身なりも整えて、心の準備も終えた……のだけど……。


心臓はバクバクとうるさく、手のひらは汗でびっしょり。

おまけに足は、接着剤踏んじゃったのかと思うくらい、全く地面から離れない。


ほら、早くインターホンを押すんだ。このままずっと動かずにいたら不審者になってしまうぞ。


心の中で軽く脅しながら、そーっとインターホンに手を伸ばす。


──ガチャッ。


すると、ボタンを押したのとほぼ同時に、目の前のドアが開いた。



「あらら小夏ちゃん! こんにちは〜」

「こ、こんにちわっ」
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