【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「もう、先に言いなさいよ。ごめんね小夏ちゃん、お茶も出せずに」

「いえ。私こそ、お忙しい時間帯にすみません」



ペコッと頭を下げて、彼女を見送った。



「よし、作戦成功っ」

「ありがとう。ご家族は、今紅耀くんだけ?」

「うん。お父さんは6時過ぎくらいに帰ってくるから。さ、入って入って」



手招きされ、「お邪魔します」と挨拶をして家の中へ。


前回来た時もだったけど……めちゃくちゃ静かだよね。風の音しかしない。

いつも賑やかな我が家とは正反対だから、慣れなくてそわそわしちゃう。


階段を上ると、『こうよう』と書かれたドアプレートが見えた。



「開けるけど、大丈夫?」

「うん」



紅輝くんの目を見てしっかりと頷いた。

コンコンコンと、ドアをノックする音が響くと、「はーい」と低い声が返ってきて……。



「連れてきたよ〜」

「……ん」
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