【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
正門を使わなかったのも、彼らが人気者だから。


最初はやけに視線を感じるな〜くらいだったんだけど、日に日に女子達の目つきが鋭くなってるのに気づいて。

今週からは裏門を使ったり、電車やバスが着く時間を避けたりと、なるべく人目につかないように配慮してくれているんだ。


紅輝くんがやってくるのを今か今かと待ちつつ、今日あった出来事を話していたら、家に着いてしまった。



「小夏はGWの予定あるの?」

「うん。前半は大掃除して、後半はキャンプに行く予定だよ」



表札の前で向かい合わせになって話す。


今年に入ってすぐ父の転勤が決まり、6年ぶりに地元に戻った我が高梨一家。6年前と同様、現在祖父母の家で暮らしている。

だが、高齢で足腰が弱ってきたせいか、ここ数年間大掃除ができていないと聞いて、みんなが休みのタイミングで掃除することにしたのだ。


ちなみに来月は、家族全員でキャンプに行く予定。

私の誕生日祝いも兼ねてるから、ちょっぴり楽しみ。


ざっくり伝えると、なぜか口を尖らせて「……ふーん」と一言。

……あれ? 何か、気に障るようなこと言っちゃったかな?



「そっか。気をつけて楽しんでこいよ」

「う、うんっ」



と思いきや、いつもの口調に。

小さな謎を残したまま、紅耀くんは「またな」と言って先に家の中に入っていってしまった。
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