【短編】お向かいの双子くんは私のことがお気に入りらしい
「新しい服を買いに行ったよ。Tシャツと、柄物のシャツと、あとはキャップを買ったかな」

「へぇ〜! 柄物着るんだ! めちゃくちゃ似合いそう! 着てるとこ見てみたいな〜」

「じゃあ、テスト終わったら遊びに行く?」

「いいの⁉ やった!」



そうなりますよね。日和、紅輝くんのこと気に入ってるし。

盛り上がる彼らの後ろを静かに歩く。



「……なぁ、なんでそんなに離れてるの」



しかし、数メートル進んだところで、隣から低い声が飛んできた。



「この前もだったけど、俺といるの気まずい?」

「いやっ、全然っ」



手と顔を横に振って否定する。

そりゃそうだ。3人の時はピッタリくっついてたのに、今は1人分空いてるんだもん。



「その……紅耀くん、女の人が嫌いって聞いたから……」



声をしぼませながら視線を落とす。


毎日顔を合わせていても、なかなか緊張が抜けないのは、女嫌いという噂を聞いたから。

噂では、クラスメイトとも必要最低限の会話しかしないらしく、告白されてもバッサリと断っている、と。
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