最悪な私の幸せへの道
美しく福寿草のような日々〜第一章〜
忌々しい記憶
首都が東京に変わり元号が明治となった年、異能が途絶え始めた中、異能を今日まで保ってきた一葉家に私は生まれた。300年に1度の確率で生まれる"死転術"を持つ異能力者として生まれ、家中が湧いた。私が生まれたことを盛大に祝われた両親は死転術の対象となる現在の唯一の存在であり、異能力を持たず役立たずとして存在している異母姉の優音を虐待し始めた。それもお姉さまの世話をする使用人や私達姉妹の祖父母がいない間のみだ。今思うとどれだけ悪質だったかよく分かる。祖父母は私達姉妹に対して平等に接してくれていたが、両親はお姉さまを害虫として、私をその害虫を狩る害虫駆除屋のように育てた。それは当時の私にとっては幸せなことだったのだか、今は思い出したくもない思い出だと思う。