メガネをはずしちゃいけません!
翌日。


幸い、特に目立った変化はなく
少し安心していた。

よく考えたら、昨日私は名前も名乗らなかったし、クラスしかばれてないっていうのが現状だからね。
そんなにすぐにはしかけたくてもできないんだろう。


彩香「美奈。あれから変わったことない?大丈夫?」


美奈「とりあえず今のところはね。」


彩香「そっか!よかった。なんかあったらすぐ言ってよ!」


美奈「うん。」


このまま何事もなければいいんだけど。





という私の願望は、


帝「このクラスのメガネの女子に用があんだけど。」


突然聞こえてきた、1番聞きたくない声によって粉々に砕かれた。





彩香「ついにきたよ。」


美奈「最悪。」


彩香「どうする?」


美奈「私、顔伏せて寝たふりしてるから、今いませんって言ってきて。」



彩香「りょーかい!」


帝「全部聞こえてんだけど。」



彩香、美奈「「…」」



いつの間にかすぐそばにいた山神帝。


くそ!帝ファンめ!口を割ったわね!


帝「お前さ、昨日のこと、まさか忘れたわけじゃないよな。」


美奈「なんのことでしょうか、先輩。身に覚えがないですが。」


帝「へぇ~…」


私の言葉に、ニヤリと笑みを浮かべた先輩。


帝「昨日はあんなに激しかったのに?」


美奈「なっ!?////」



ザワザワッ   

ざわつきだすクラス。


こいつ、なんて卑怯なやつ!



美奈「勝手な言いがかりはやめてください。妄想ですか?気持ちわるッ!」


帝「まったく素直じゃねーんだから。昨日はあんなに素直だったのに。」


ありもしない事実を口にしながら徐々に距離を詰めてくる。


美奈「はあー?頭大丈夫ですか、先輩。てか近づくな。」


ザワザワ…

だめだ、このままじゃ完全にクラスメイトに誤解される。


帝「2人で話したいから、ちょっと来いよ。」


グイッ


美奈「は?無理です。先生呼びますよ。」


帝「いいから来いって。すぐ終わるから。」


もう完全にクラスメイトの視線は私たちに集まっていた。

無理もない。学校1イケメンといわれている先輩と
クラスで誰よりも地味なメガネ女が騒いでいるのだから。

視線に耐えられなくなった私は


美奈「…30秒だけですよ。」


仕方なくついていくしかなかった。


彩香「美奈…大丈夫?」

彩香が横で心配そうに尋ねてきた。


美奈「仕方ないよ。ちょっと行ってくる。」

そういってしぶしぶ先輩と一緒に教室を出た。
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