メガネをはずしちゃいけません!
カサ…



カサ…




封筒に資料を詰める音が、
図書室に響く。



帝「なぁ…、」


美奈「…なんですか。」


帝「だりぃ。」


美奈「この会話、今ので5回目ですけど。」


かれこれ20分ほど、
この地味な作業を行っているが、
山神帝はどうやら集中力がないらしい。


帝「お前、ほんと、よくこんなこと黙ってやってられるな!なんか喋れよ。」


相変わらず無茶苦茶なやつだ。


美奈「黙って出来ないなら帰ってください。
べつに私1人でもできるんで。」



帝「…やだ。」


やだ…って。

子供か!


美奈「なら、黙って手を動かして。」


帝「やだ。」


イラッ



としたのは私の心が狭いから?
いえ、正常な反応です。


美奈「じゃあどうしたいんですか?」


不機嫌な顔と声で聞いてやった。


すると、



帝「お前、今度の土曜日、空いてるか?」


美奈「は?」



思いがけない質問に
心の声がそのまま出てしまった。


帝「は?ってお前、この俺が休日の予定を聞いてやってるのに。ほんと可愛げないよな。」


美奈「この俺が、とか言ってるようなナルシストに休日の予定聞かれたら、誰だってこんな反応ですよ。」
 
帝「お前…まじでムカつく。」

美奈「どうぞ、ムカついてください。」


この罵倒のキャッチボール
なんか懐かしいわ。


帝「…で、」



ジッ…


山神帝は
真剣な眼差しでこちらを見つめながら


帝「空いてるか?」


もう1度そう言った。
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